不動産売却、購入の無料相談(土地の瑕疵について)

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不動産の売却や購入、
つまり不動産売買契約において、
 
契約書の内容と、
契約書作成に当たり、
告知内容等は非常に重要です。
 
今回は、土地の瑕疵(契約不適合)
について見ていきます。
 
まず、
 
買主:土地を購入して4年経過後、
目的とする自宅建物を建築しようとしたところ、
建築の障害となる地中障害物等を発見。
 
買主がその除去及び地盤改良費用等の
支払いを売主及び媒介業者に求めました。
 
判決は、↓
 
売主:地中障害物の存在を把握していた売主の
賠償責任 有り
 
売主より敷地内残存物がないと説明を受けていた
媒介業者の調査義務 無し
 
(東京地裁 平成30年3月29日判決 ウエストロー・ジャパン)
 

事案の概要

平成19年3月、売主(被告・宅建業者)は、
本件土地及び旧建物を購入しました。
 
つまり、「仕入れ」ました。
 
そして、七ヶ月後の、
平成19年10月に旧建物の取壊しを行い更地にして、
いわゆる「商品化」の完了です。
 
 
8ヶ月後の平成20年6月、
 
自宅を建築しようという買主は、
不動産仲介会社の媒介(不動産仲介)により、
売主と売買契約を締結しました。
 
翌月、平成20年7月に、
代金の支払いを行うと同時に、
物件の引き渡しを受けました。
 
 
売買契約書の一部である、
物件状況等説明書(売主作成・告知)において、
 
「敷地内残存物、旧建物廃材、建築廃材、浄化槽、井戸」
が「有る」と告知されておりませんでした。
 
 
 
(売買契約書の概要)
 
・売買代金:7億円
・売主の瑕疵担保責任:
引渡し完了日から2年以内に限り売主は責任を負う。
 
売主が、不動産業者であれば、
「2年」というのは一般的な期間です。
 
むしろ、最低2年です。
 
そして特約として、
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 
 
本件土地上に建築物を建築する際、
地耐力強化のための
 
地盤改良工事等が必要となる場合があっても,
この費用等については、
 
買主の責任と負担で処理することを
売主は呈示し、買主はこれを容認する。 
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 
 
ということが
定められていました。
 
これは、後に説明しますが、
定型的、形式的な内容でもあります。
 
 
さて4年3ヶ月後の
平成24年10月頃、
 
買主は自宅建築のため、
地盤調査を依頼しました。
 
すると、地中に障害物、
つまり埋設物が存在することが分かりました。
 
ようは埋められていました。
更地になる前の建物の残骸です。
 
 
というわけで、
当初予定の表層改良工事では
強度的に不十分と判断されました。
 
なので、
予定していた地盤改良工事を取りやめ、
別の方法の地盤改良工事に変更となりました。
 
 
 
土地を購入してから、
着工まで4年経過していますので、
 
おそらくこのまま
工事を進めたのでしょう。
 
そして、着工後3年
引き渡しを受けてからは7年後の
 
平成27年に買主は、
 
売主及び不動産仲介会社に対して、
2480万円を請求する訴訟を起こしました。
 
理由と内訳は、
本件地中障害物が存することの説明を行わなかった
等の不法行為・債務不履行責任があるとし、
 
買主が支出した地中障害物の除去及び
地盤改良工事費用2121万円、
 
同変更工事検討費用83万1600円、
工期延長に伴う家賃51万 4300円、
 
弁護士費用等225万円の
計2480万円余
 
 
これを受けて、
 
売主は、
本件地中障害物について認識していなかった、
認識していなかったことについて過失はないなどと主張。
 
 
不動産仲介会社は、
売主より敷地内残存物がない旨の
物件状況等説明書を受領しているから、
 
地中障害物の有無等についての調査義務は履行済
であるなどと主張。
 

判決の要旨

買主の各請求は
 
対売主 → 認容
対不動産仲介会社 → 棄却
 
となりました。
 
 
不法行為の存否についての裁判所見解
 
○売主について
 
売主 → 解体業者
解体工事を依頼
 
解体業者 → 解体工事
地下室ですから、頑丈な建物だったかと。
なので、大量のコンクリートが発生。
 
また、地下室ということは、
空間ですから、道路と同じ高さにするには、
土を持ってこないといけません。
 
 
というわけで、土だけで埋め戻すのではなく、
解体した廃材を土中に埋め戻し。
 
 
 
売主が建物の解体費用を
かなり値引いたのか、
 
そもそも解体業者が、
自分たちの利益をより上げるため、
廃棄費用を出し渋ったのか。。。
 
このあたりはまた別途、
この売主と解体業者との戦いになると思います。
 
そもそも、売主の指示でなければ・・・。
 
 
 
 
この辺の話は当然、
買主は本件売買契約時点では
予期することはできません。
 
なので建築会社と打合せ、予定していた
地盤改良工事とは異なる工事を
 
行わざるを得なくなった、
ということができる。
 
(赤字判例)
 
本件土地中に存在していた障害物の量および範囲等に照らすと、
取引通念上通常有すべき性状を欠いており、
本件土地には瑕疵があるものと評価することができる。
 
また、売主は、買主に対し、
売主として、物件状況等報告書の作成等を通じて、
 
売買の対象となる土地の状況について
正確な情報を告知・説明する義務を負っていた。
 
売主は、旧建物が存在する状態で土地を購入し、
解体業者に依頼して旧建物を取り壊したのであるから、
 
旧建物には地下室が存在し、
旧建物の解体に伴う地中障害物が残存していることを把握し得た。
 
にもかかわらず、Aの遂行状況を確認することなく、
物件状況等報告書を作成したものと推認することができる。
 
売主は上記義務の履行を怠ったというべきである。
 
 
本件売買契約には本件特約が付されているが、
同特約は定型的に設けられたものであること、
 
そもそも上記地中障害物が残存することになったのは
売主が旧建物の取壊しを解体業者に依頼したことが契機となっていること、
 
取壊し完了時に売主の担当者が立ち会っていること、
売主は直接解体工事の内容と実施について
確認していないこと、
 
本件売買契約を締結する際に
買主が地盤改良工事に要する費用等を考慮し、
売主と本件売買契約を締結するに当たって
これを前提に売買代金額を決したことはうかがえないことなどを考慮すると、
 
本件特約の射程範囲は、売主の行為を契機として
地中に多量の障害物が存在した
本件のような場合にまで及ぶものと解するのは相当ではない。
 
したがって、売主は、買主に対し、
不法行為に基づき2480万円の損害賠償義務を負う。
 
とのことです。
 
 
このなかで、特約のことが
以下のように書かれています。
 
本件特約が付されているが、
同特約は定型的に設けられたもの
 
 
冒頭の方でも少し触れましたとこです。
そもそも不動産の売買契約において、
 
どんな不動産においても、
共通して起こり得るであろう可能性は、
 
それこそ、「定型的」、
つまりフォーマットとして記載する
慣例があります。
 
これに限らず、
 
「周辺の土地は第三者の土地で、
 将来、だれかがなにか建築して、
 眺望、日照などが変わりますよ~」
 
というようなこととか、
もっと細かいのだと、
 
「土は植栽に向いてませんから、
 植栽するのだったら、
 専用のものに入れ替えてください」
 
とか。
 
 
 
○不動産仲介会社について
 
(赤字判例)
 
本件売買契約締結時点において、
更地化されていた本件土地について、
宅建業者である売主が物件状況等報告書において
 
敷地内残存物はない旨を説明していることから、
本件において、これに加えて不動産仲介会社が
独自にその真偽等について調査すべき義務が発生するとは言い難い。
 
したがって、買主の不動産仲介会社に対する請求は理由がない。
 
 
今回、売主も不動産業者なので、
その業者が作成したものだから、
一定の担保があるはずだと、
という意味合いもあるかもしれません。
 
これが一般の方が売主だと、
どうなるのか。
 
解体業者に問い合わせる程度でしょうか。
自ら地盤調査をする必要はないでしょう。
費用もかかりますし。
 
ただ一般の方でも、
不動産賃貸業を何十年もされている、
セミプロみたいな方ですと、
 
また状況は変わってくるかも知れませんね。
 
 
 
というわけで、
瑕疵担保期間2年を超えても、
費用の請求が一部認められた事案でした。
 
正しい告知と、
解体を依頼したにしても、
 
解体の状況の確認。
怠ってはいけませんね。
 
 
 
 
※一般財団法人 不動産適正取引推進機構の
RETIOメルマガの判例記事を元に
編集させていただきました。
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田辺領平 LINEで相談できます
観光地域経済研究員
賃貸不動産経営管理士、宅地建物取引士

和歌山県を中心に活動。
加太、雑賀崎、田野など海の見える物件や、
山の物件などの積極的活用方法研究が得意。
自分で出来るDIYの研究と指導も行っている。

 

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